幼少期、FH系の非合法な研究施設で実験体として扱われていた過去がある。
数年前に行われた実験の被験者となり、ウロボロスのシンドロームを新たに発現させることに成功するが、同時に暴走。
施設を壊滅させ、現場に急行したあるUGNエージェントと死闘を繰り広げた後に鎮圧され、保護される運びとなった。

当時行われた実験の趣旨は、過去に存在したレネゲイドビーイングの断片を人体に注入することで、人為的に共生体を作成するというもの。
実験は多くの犠牲を払ったが、最終的には成功したと言える。最後の被験者となった少年は注入されたレネゲイドビーイングと共存し、死滅することなく新たなシンドロームを発現させたからだ。
しかし人為的に造られた歪な共生関係は、宿主に甚大な精神負荷を与えることとなった。
他人が、自らの肌の下で蠢いているという嫌悪感。必然的に招かれた暴走事故は、生き残った少年に大きな傷痕を残すこととなった。

イバラは常に手袋を履いている。他者に対して生理的な嫌悪を感じてしまう彼は、生き物と直接触ることができない。
他者に対する嫌悪。それは人間であれば誰しも持つ、自己を防衛するための必然的な本能である。
それがイバラの能力を引き出したし、強くした。そして同時に、苦しめてもいる。